Selected Poems of Rumi
ルーミー詩撰:ジェラールッディーン・ルーミー


『白川夜船』1


長いこと、同じ町に暮らす男が今夜も眠りにつく。
眠りについてすぐに男は、全く別の町を夢に見る。
良いもの、悪いものであふれんばかりのその町で、
男は長年住み慣れた町のことなどすっかり忘れている。
「ここは私の知らない町だ、ここでは私は新参者だ」
などという思いは、男の心に露ほども浮かびはしない。
この町で生まれ育ったと思っている。
この町で、もう長いこと暮らしていると思っている、
たった一晩、夢に見ているだけのその町で。

ならば何の不思議があろう、魂が生まれ故郷を忘れ、
かつて育まれた居場所を忘れたとしても。

何の不思議があろう、雲に覆われた星のように、
この世の眠りに包まれる以前の、記憶を失ったとしても。

何の不思議があろう、町から町へと旅を続けるうちに、
砂塵にさらされて眼も曇り、魂が光を見失ったとしても。2



2008.03.


*1『精神的マスナヴィー』4-3628.

*2 『町』とは経験であり、通過点を指す。あるいはまた、通過するプロセスそのものでもある。経験を通じて魂は自らの転落を知る(あるいは「思い出す」)。それはかつての生まれ故郷である神へと帰る旅の始まりであり、また『多(分離)』から『一(統一)』への回帰でもある。


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