Selected Poems of Rumi
ルーミー詩撰:ジェラールッディーン・ルーミー


『音楽の記憶』1


ある人は言う、私たちの耳を心地良くくすぐるナイもリュートも、
突き詰めればその旋律は、回転し続ける宇宙より受け取るのだと。

だが信じる者は、あらゆる定理と推論とを軽々と跳躍してしまう、
そして宇宙に響く音という音を、甘くするものは何なのかを知る。2

私たちアダムの末裔は、かつて彼と共に天使たちの音楽を聴いた。
今となっては、はるか昔の遠い記憶もほころび破けているものの、
それでも耳の奥底に残っている、地上の何ものとも無縁の残響が。

ああ、音楽こそは聖なる晩餐、愛する者全ての血となり肉となる。
音楽が鳴り響けば、魂は天上の記憶を恋い焦がれて高みを目指す。
灰という灰は光り輝き、魂の奥底に不可視の炎が火の粉を散らす。
私たちは音楽に耳を傾け、歓喜と平安をその舌に味わって満ちる。



2007.10.


『精神的マスナヴィー』4-733.

*1 イスラム哲学・詩文学において、有名なピタゴラスの理論はほぼ当たり前のこととして扱われる。以下はバスラに本拠地を置く「純粋の同胞団(イフワーヌル・サファー:Ikhwanu ‘l-safa)」による:

『天球が回転すれば、惑星やその他の星座群もそれに従い連動するが、その際にはある一定の音階による旋律が発せられる。旋律は惑星と星座群による神への賞讃であり、天使達の魂を楽しませる。その残滓は地上に住まう私達の耳をも捉えるが、それこそが音楽と呼ばれるものである。その際に私達の魂もまた音楽を聴くが、魂は地上の音楽の向こう側に天上の楽園と、そこに住まう魂にのみ許される、尽きることのない歓喜を思い出す。それで私達の魂は、地上から天空を目指して飛び立ち、かつての仲間達に再会することを切望するのである』

*2 

『われらがおまえたちに授けたものをしっかと受けとれ。その中にあることを記憶せよ。』
(コーラン7章117節)

音楽が人間の精神活動に与える影響は、スーフィー達に魂の先在を連想させた。音楽に耳を傾けるとき、すべての人間の魂は永遠について思いを馳せる。かつて聴いた神の声を再び聴き、天空の主の祝歌を「思い出す」のである。




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