"Tales of Mystic Meaning" Reynold A. Nicholson

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汝の顔2を見れば、我らは忠実な奴隷のように仕えよう。
聞いておくれ、ハールートとマールートの物語を。

ハールートとマールートは酩酊の只中にあった。

神の為したもう御業の数々に彼らはしたたかに酔った、
主は彼らを、段階を追って誘惑した。
そのひとつひとつに、彼らはただ驚くばかり、
このような酩酊を引き起こすのは、御方の誘惑を置いて他に無かった。

汝には理解できようか、汝には想像できようか、
神への上昇によってもたらされる酩酊の凄まじさを。
主の仕掛けたもう罠の餌でさえ、これほどの酩酊をもたらすのだ。
これが主の恩恵の食卓に並べられる聖餐ならば、その歓喜は如何ばかりか!

二人の天使は酔いに酔った、彼らを繋ぐ縄目も解かれるほどに。
有頂天となった彼らの行く手には、だが伏兵と審理が待ち受けていた。
威力並びなき大風が吹けば、藁の山はたちまち一掃され、
神の御手による裁きは、思いもよらぬ方角へと彼らを運び去った。

しかし酩酊の裡にある者が、そのような事に気付くだろうか?
酔漢にとっては深い洞穴も広い野原も同一であり、
地下牢も井戸も、心楽しき散歩道であろう。

険しい山に棲む山羊が、心安らかに草を食もうと高い崖を登る。
少しづつ草を齧っていると、突如として天命が、
新たな仕掛けを以て彼を翻弄しようとしていることに気付く。

彼は自らのいる山とは違う山に目を凝らす、
そしてそこに、一頭の雌山羊がいるのを見出す。

たちまち彼の目に覆いがかけられ、周囲が見えなくなる。
彼は狂ったように飛び跳ねて山を降り、彼女の許へと急ぐ。

今の彼にとっては、険しい山道を下ることなど、
中庭の水飲み場の周囲を巡るよりも簡単なことなのだ。

訳も分からぬうちに芽生えたこの執心、この衝動のために、
登り慣れたはずの山道も、まるで二倍に伸びたかのように感じる。

やがて山を降り切り、平野に飛び出した彼は、
二つの冷酷な山の間で、あっと云う間にこと切れて倒れる。

そもそも彼が山に登ったのは、狩人から逃れるためであった。
彼自身の避難が、彼自身の血を流すことになるとは。


ハールートとマールートは酩酊の只中にあった、
彼らはしたたかに酔った、 - 優越感に酔った。

彼らは言った、
「我らは雲のように、地上に雨を降らせよう、
不正はびこる忌まわしきかの地に、
正義と公正、崇拝と篤信の絨毯を広げよう」。

そこで彼らがそのように申し出ると、
神は彼らに命じたもう、
「ならぬ!汝らの足許には、目に見えぬ無数の落し穴がある」。
確かに、神は彼らにそう命じたもう。

だが血気にはやる彼らの耳は、興奮で塞がれ何ひとつ届かなかった。
耳も塞がれ、目も閉じられ、 - 彼らには何も残っていない、
自らを顧みず、自らを逃れようとする者からは、
その視覚も、その聴覚も逃げ出すのである。


 - 恩寵の他に、目を開かせるものは何も無く、
 - 愛の他に、怒りを鎮めるものなど何も無い。

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*1 3巻800行目より。ハールートとマールートの二人は天使であったが、人間の罪深い様子を見てこれをひどく軽蔑していた。彼らは許しを得て地上を訪れる。二人は地上に降り立つと、神から誘惑の危険について警告を受けていたにも関わらず、出会った一人の美女(一説にはヴィーナスであるとも云われる)と恋に落ちて彼女を誘い込む。懲罰を受けるのに、現世と来世のどちらかを選ぶよう命じられた二人は前者を選び、バビロンの深い洞穴に幽閉された。

*2 『マスナヴィー』を口述筆記するフサームッディーンを指す。『マスナヴィー』は彼に捧げられた作品である。


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