書道に関するアフォリズム
書道について語られた数々の言葉たちを抜粋。
植物ならば、それは花 食物ならば、それは甘く (Ahmad Ibn Ismail:アフマド・イブン・イスマイル、美しいカリグラフィを評して)
筆が泣けば、紙は微笑む。 (Al-Attabi:アル・アッタービー、詩人。左に向かうストロークを書き進める際に、葦の筆がきしんでまるで泣き声のように聞こえる様子を評して) インクは闇夜のごとく黒いが、 ・・・諸外国の王侯が、彼らの格言とやらを我らに送り届けたいのであれば、その前に我らの有する書体のうち、どれによって書きたいのか、と問うてやれ。どれでも好みの書体を選ばせてやれ、その高貴さを思い知らせてやれ。 (the caliph Al-Ma'mun:アル・マームーン、アッバース朝第7代カリフ。学芸を重んじ、ギリシア語古典哲学文献のアラビア語へ翻訳を推奨した人物) 筆というのは、空っぽで中身など何もない愚か者のくせに (無名の誰かが語った詩) カリグラフィとは、精神の幾何学である。ただし精神の幾何学を実践するには、道具を必要とする。 筆の手入れを怠るな。いつでも心を込めて作り上げ、良い状態に保っておけ。良い筆を作ることができれば、カリグラフィの仕上がりもよくなる。だが筆を軽んじれば、おまえはおまえの精神を軽んじたことになる。そうすれば、カリグラフィもおまえを軽んじるだろう。 (Yaqut Al-Mustasimi:ヤアクート・アル・ムスタスィミー、偉大な書道家の一人)
若者よ、おまえに勇気があるというのなら (Abu Al-Fath Al-Busti:アブー・アル・ファス・ル・ブシュティー、詩人) ・・・本日、貴殿よりの嘆願書を拝受した。だがわれわれは読みながら何度もつっかえ、読了するために多大なる労力と苦痛とを強いられた。貴殿の書く文字の何たる粗雑なことか。いったい貴殿は何を意図しておられるのか。貴殿が真実を述べているとするなら、真実が貴殿の筆を助けるはずだが。 文字は美しく書くべきだ。美しく書かれた文字は、書いた本人にとって栄誉であるばかりではなく、書いた本人をも美しく見せ、願望をかなえる糸口ともなる。・・・ 貴殿の真実をわれわれに知らしめて頂きたい。われわれに嘆願書を再度お送り願う、ただし次回は美しく書いて頂きたい。その時には、友よ、われわれは必ずや貴殿の味方となろう。・・・ (Yahya Ibn Said:ヤフヤ・イブン・サイード。Ibn Tahir:イブン・ターヒルから届いた嘆願書に対して送った返信) ラはカリグラフィのラ (R(ラー)の韻詩) 慈愛あつく慈悲深い神の御名において。 技術の向上を願う者よ、 まずは全ての書体を学び、習得せよ。 筆を作るには、注意深くなくてはならない。 うまく削れたら、長くもなく短くもなく、 筆は紙の上では定規ともなる、 紙に向かう面に、曲線を与えよう、 最後の最後に、筆の先端に取りかかろう、 けれどこれ以上は教えられない、私の秘密だからだ、 煤のインクで君のインク壷を満たし、 インク壷の中味が熟成したら、さあ、紙の準備だー 飽きず眺めていられるような、一生の手本となる書を入手せよ。 がっしりとした文机を用意しよう、 さて、君はようやく入口に立ったばかりだ、 喜びはいつでも、苦しみの後を追いかけてくるもの。 感謝する者を、神は愛し給うだろう。 まぼろしの宮殿に飾られた、まだ見ぬ美しい書の数々。 人という人はみな書道家だ、やがて時は満ちて、 (Ibn Al-Bawwab:イブン・アル・バッワーブ、偉大な書道家の一人。生涯にコーランを64回筆写した。道具の手入れを記したアル・ムスタスィミーの孫弟子。アル・バッワーブに直接手ほどきをしたのは、ムスタスィミーの弟子にあたる女流書道家だった。) |
参考文献:
"THE CALLIGRAPHY OF ISLAM - Reflections on the state of the art" Mohamed U. Zakariya
"Islamic Art & Spirituality" Seyyed H. Nasr
2008.06.
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